胸やけの原因となる疾患
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃の内容物や胃酸そのものが食道に上がってきてしまう疾患であり、胃酸によって食道の粘膜が炎症を起こしてしまいます。みぞおちの痛み、喉の違和感、咳、胸やけ・吐き気の他、呑酸などの症状が現れます。
食道がん
食道がんは、過度なアルコールの摂取や喫煙が主な原因となって発症する疾患です。がんの中でも特に他の場所への転移や浸潤などが起こりやすく、胸焼けや吐き気といった症状が現れます。その他、食べ物がつかえたような感じや、胸や背中に痛みが出たりします。
咳、声がれ、体重減少といった症状も考えられるため、これらの症状があればすぐに受診してください。
胃がん
胃がんは、ピロリ菌感染も原因の一つとして考えられています。また、喫煙や塩分の摂り過ぎでも発生するとされています。胃がんになる方のほとんどはピロリ菌に感染しているため、ピロリ菌は重大なリスク要因であり、早期発見・除菌治療が胃がんのリスクを減らすことに繋がります。
胃がんになった初期には特に自覚できる症状はないものの、進行すると胸焼けや吐き気といった不快感、食欲不振、みぞおちの痛みなどの症状が出てきます。
胃・十二指腸潰瘍
胃・十二指腸潰瘍の主な原因は、ピロリ菌感染や鎮痛剤(NSAIDs)などと考えられています。胃や十二指腸の粘膜が深く削れてしまうことで起こる疾患であり、胸焼けや吐き気だけではなく、空腹時・食後にみぞおちの痛みを感じる、背中が重苦しい気がする、タール状の黒色便が出る、貧血になるなどの様々な症状が現れます。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、胃に不快感が出る疾患であり、胸焼けや吐き気、みぞおちの痛み、早期飽満感、食後の胃もたれ、げっぷなどの症状が挙げられます。ただし、胃カメラ検査をしても異常を見つけることはできない疾患なので、診断は慎重さが求められます。
便秘
便秘は、3日以上排便がないか、排便があったとしても少ししか出ず、残便感がある状態のことです。そのため、例え毎日排便があっても、便秘の場合もあります。便秘は様々な消化器系の疾患が原因で起こる場合もあり、胸焼けや吐き気、下痢などの症状がある場合は早急に受診してください。
腸閉塞
腸閉塞は、腸管が詰まってしまっているため便が肛門まで運ばれない状態のことです。腸の蠕動運動の低下でも、腸閉塞になる場合があります。
「イレウス」とも呼ばれていて、内容物だけでなくガスも溜まってしまうため、早急な治療が求められます。
また、胸焼けや吐き気、嘔吐、腹痛、下腹部の張りなどといった症状が現れる場合もあります。
胆石症
胆石症は、胆汁が結晶化してしまう症状であり、胆管や胆のうで結石ができます。胆石が胆管を塞いでしまうため、腹部に激しい痛みが生じます。また、胸焼けや吐き気、嘔吐、発熱、黄疸などの症状が現れる場合もあります。
胆のう炎
胆のう炎は、胆石が胆のうの出口などで詰まってしまう、もしくは細菌などに感染してしまって炎症を起こしてしまう状態です。主な症状に右上腹部や背中に痛みを感じます。その他、胸焼けや吐き気、嘔吐などの症状が出る場合もあります。
胸焼けの予防・対処法
胸焼けを予防するには、食べ過ぎや飲み過ぎ、過度のアルコールの摂取やタバコを控える必要があります。また、食事も重要であり、脂っこい食事は頻度を少なくするようにしましょう。他にも、ストレスを溜めないように生活することも重要です。食生活以外の生活習慣も改善し、規則正しい生活を心掛けましょう。
食生活の改善
胸焼けを予防するには、食生活の改善は必須ともいえます。特に、早食い、暴飲暴食には注意しましょう。肥満も胃酸が逆流しやすくなるため、食事制限などで減量することも重要です。その他、脂肪分の多い食品はもちろん、チョコレートなどの甘いもの、柑橘類などの酸っぱいもの、コーヒーや炭酸飲料、アルコールにも注意が必要です。
禁酒・禁煙
お酒やタバコは、食道の下にある下部食道括約筋を緩めてしまう作用があり、胃酸の逆流を防ぐことができなくなってしまうため、注意が必要です。
身体に負荷のかからないような姿勢を意識する
体に負担をかけない姿勢を維持することも重要であり、眠るときには左側を下にして頭を少し高めにして眠ると良いでしょう。また、腹圧をかけるのも良くないため、締め付けのきつい衣服やベルト、猫背などにも注意が必要です。
服薬する際は十分な水分量を
お薬は、水分が足りなければ食道粘膜にくっついてしまうことがあり、胃酸の逆流を誘発してしまう危険があります。そのため、必ず十分な量の水(コップ一杯分)と一緒に飲むようにしてください。